鉛筆で「人物」を描く手順について解説していきますが、
このページ自体を「鉛筆人物画 基礎講座」として作成しましたので、今後お気に入り登録してご活用頂ければと思います。
まず初めに軽く私Keigoの鉛筆人物画を掲載させて頂きます。
最近は写真と見間違うぐらいの「スーパーリアリズム」の鉛筆人物画を描かれる人達が増えてきましたね。本当に凄い技術だなと感心しています。
彼らに比べれば私の鉛筆人物画は「普通のリアリズム」ぐらいのレベルかなと思います。
決して言い訳ではないのですが、私はここ最近は「鉛筆でのリアル人物画」という分野からはだいぶ離れてしまっているので、
単純に「鉛筆でのリアリズムの追求」に時間を割けていないというのが現状なのです。
ですので単純にそこに時間をかければリアリズムの技術はどんどん上がっていくはずです。皆そうだと思います。
ただ私にはもう「スーパーリアリズム」という分野を追いかけようという気持ちは全くありません。
勿論、絵自体に興味がなくなったわけではなく、「技術優先の鉛筆人物画に喜びを感じられなくなったから」というのが一番の理由ですね。笑
ここ数年は暖かみのある「パステル画」に注力しています。
さあ話を戻しますが、今回の記事で紹介する「鉛筆人物画」の解説はあくまで、
「ある程度のリアルまで成長したい!」と考えている方に読んで頂くのが一番丁度良いかなと思います!
ただ当記事内容を忠実に実践してもらえれば確実に鉛筆人物画の基礎力は身に付きますので、そこだけはご安心下さい。
冒頭でもお伝えした通り、このページ自体を「鉛筆人物画 基礎講座」という1つの講座として作成しました。
基礎的な描写から、各パーツの重要ポイント、全道具の説明までできるかぎり詳しく解説していきますので、是非基礎力UPにお役立て頂ければと思います!
勿論動画メインでの解説となりますのでじっくり最後まで学んで頂ければと思います!!お気に入り登録して頂いて何度も見返してみて下さい!
それではスタートしていきます。
目次
鉛筆人物画 基礎講座
当基礎講座は初級者さん、脱初級者さん向けコンテンツとなっております。動画、テキストにて解説していきます。
やはり動画が一番情報量の多いメディアになりますので理解が深まりやすいと思います。
補足
fa-angle-right動画は理解を深めて頂く為、早回しはせず通常速度の動画となっています。
fa-angle-rightテキストでも重要な解説を加えていますので、是非文章も熟読しながら進めてもらえればと思います。
fa-angle-rightたまに動画に音声が混じっていますがご容赦ください。
1,鉛筆人物画 「基本事項と道具」
当基礎講座では成人女性の描き方を解説していきます。
基本事項
◆輪郭線は「トレース」で描くことを推奨しています。「リアルさ」を優先させた場合は輪郭線のズレは致命的になってしまいますので。
トレースのやり方は以下の記事にまとめています。
補足
トレースにどうしても抵抗がある人は方眼マスを引く「グリッド」で輪郭線を転写してみて下さい。
グリッドの解説動画はこちらです。外人の解説ですがイメージはつかめると思います。
◆紙は絶対にケント紙を使って下さい。表面がつるっとしている為リアル系には最適です。
紙の大きさは「B4サイズ」以上で描くことを推奨しています。小さいサイズだと細部の描写がやりずらい為、上達速度が遅くなる可能性があります。
どうしても作業時間を短縮させたいという場合は、B4サイズより1回り小さい「A4サイズ」でもいいかもしれません。
◆今回使用した「成人女性」の資料は以下ページにアクセスして頂き、右クリックから画像を保存できます。保存した画像をコンビニ等でB4サイズにてプリントアウトして下さい。
https://gro-art.com/lp/seijinjosei4-siryou/
道具
今回の鉛筆人物画で使用した全道具はこちらです。
- シャーペン
- Hの鉛筆
- HBの鉛筆
- 3Bの鉛筆
- 7Bの鉛筆
- 10Bの鉛筆
- ノック式消しゴム
- さっぴつ1号
- 綿棒
- ティッシュ
- 顔の資料
- B4ケント紙(※紙は絶対にケント紙を使って下さい)
※上記全ての道具が絶対不可欠というわけではありませんが、出来るだけ全て揃えてもらうことを強くおすすめします。
補足
鉛筆画に必要な基本的な道具、紙、保管方法については以下の記事でも詳しくまとめていますので是非参考にしてみて下さい。
2,鉛筆人物画「目の描き方」
【右目1】
私の経験から、まずは「目」から描いていくのが一番バランスを取りやすいですね。
先のとがった「6B~10B」で黒目の中心から描いていきます。そしてそのまま黒目の淵も描いていきます。
【追記】4Bのシャーペンでもかなりの濃さが出せます。鉛筆よりも細部のコントロールが効きます。
内側部分は写真を見ながら徐々に濃さを乗せてつつ整えていくという流れです。まつげも位置関係を把握しておきたい為、途中ぐらいでシャーペンで描いていきます。
「目」の描写で絶対に意識してもらいたいことは「濃い部分は思いっきりドス黒く描いていく」ということです。
描き始めのスタートで「目」「目元」の濃さを写真とほぼ完全に一致させれば、濃さの絶対的基準となってくれますので、その後も正確な濃さで描き進めていけるわけです。
それではこちらの授業の動画を視聴しながら進めて下さい!
【右目2】
まぶたの辺りは7Bで描いています。目元、目の周りは特に「どのようにふくらんでいるか」ということを意識しつつ手を動かしていくことが最重要です。
眉毛も先の尖った7Bで描いて、後々10Bで濃さを足していきました。
それでは動画をどうぞ。
【左目1】
左目も右目とほぼ同様の描き方です。
【左目2】
鉛筆の粉がなじんださっぴつは随所で使えるアイテムです。
とりあえずこれぐらいまで、描き込みと濃さを整えて下さい。
補足ですが、熟練者のメイキング動画を見ていると最初の目元の描写で「あれ、ちょっと濃すぎないか?」と感じる時はないでしょうか。
しかしその後徐々につじつまが合ってきてリアルな顔に仕上がると思います。まさにあの感覚で大丈夫です。目と目元はしっかり濃さを乗せるということですね。
補足
「目」単体での描き方はこちらの記事でも解説しています。
3,鉛筆人物画 「鼻の描き方」
鼻がしっかり描けているかどうかで、顔の印象が大きく変わってきます。
まず鼻を描く前に「鼻がどのような形状をしているのか?」ということを細かく把握することが、物凄く、物凄く重要です。じっくり観察して形状を読み取って下さい。
今回のモデルの鼻を大まかに図解してみます。
右の画像のような赤いラインがあなたの頭の中でしっかり見えていることが何より大切です。そしてこのラインを意識して形状を表現していくわけですね。
このラインが分かりずらい場合は鏡で自分の鼻を見てみることをお勧めします。私も昔やっていました。笑
違うモデルでも簡単に図解してみます。
昔、絵の講師に「写真を見ただけだと鼻の形がわかりづらい・・」と相談したところ、
「自分の鼻を鏡で見ると参考になる」と言われ、その当時はよく鏡を見ていましたね。笑
絵は自分の頭で考えながら色々と工夫して進めていくと必ず上達が早まります。
【鼻1】
まずは穴を6B~10Bで描いていきます。際の辺りはさっぴつでぼかすのが最適です。冒頭で説明した赤いラインを意識しながら、影の強い部分を7Bで描いていきます。
7Bに抵抗がある人はH、HBあたりから描き始めていって下さい。形が整ってきたら7B、10Bで濃さをしっかり乗せつつ徐々に形状を整えていきます。
鼻を縦にエリア分けして考えた場合、向かって左半分の光が強い部分はH、HBメインで描き、その後3Bで濃さを足しています。
しつこいようですが、先ほどの赤いラインを意識しながら描いていって下さい。
【鼻2】
14:25秒辺りで鼻の際から、右斜め下方向を意識して7Bで影を描いています。細部を正確に捉えることが大切です。
こういった描写ができていると、そのままの流れで「右頬」の正確な描写もできるようになります。
これぐらいを目指して描き込んでいって下さい。
ポイント!!
鼻の穴の際の影は鉛筆の粉がなじんださっぴつで表現すると効果的です!
補足
「鼻が苦手だ・・」という場合は改めて下の記事も参考にしてみて下さい。
4,鉛筆人物画 「口の描き方」
「口」は根気勝負のパーツになります。推奨する描き順としてはまず初めに、上唇と下唇が重なる真ん中のラインをとがった6B~10Bで描きます。
さらに、特徴的な色の濃いシワもそのまま6B~10Bで描いてしまいます。
そしてこれらをガイドにしつつ、その他のシワ、光の位置関係を理解しながら徐々にアプローチしていくという流れがスムーズです。
上唇から描いていきます。
【口1】
こういった口のシワや肌にできた無数のイボなど、複雑すぎるものを描く時の考え方として、1ミリも狂わず寸分違わず位置関係を合わせなくても良いと思います。
ただその反面、「特徴的な光」「特徴的なシワ」はしっかり正確に表現して下さい。でないと全体的に雑な仕上がりになってしまいます。
あくまで「細部まで正確に描く」という意識は必要です。
【口1】
【口2】
先端を斜めにカットしたホルダー型消しゴムや、先端をサンドペーパーでとがらせた電動消しゴムを使って、粒粒の強い光を表現するとリアル感が増します。
22:26秒辺りから口角が上がった感じを表現しています。物凄く大切なところです。
下唇はカタカナの「ノ」の字を描くような感じの線でふっくらした形状を意識しながら描いていって下さい。縦線の特徴的な光は正確に描きましょう。
流れで下唇の周辺の肌も描ければ描いて下さい。ふくらみをしっかり意識して描いて下さい。
これぐらいまで描き込めると良い感じです。
もちろん神経質なぐらい正確な描写ができれば、写真通りの迫力ある絵に仕上がることは仕上がりますが、
絵の場合「時間」と「1作品に要する体力、精神力」というものに限りがあるわけです。
従って「寸分違わず正確に描く」となるとスーパーリアリズムの世界でない限り、非効率過ぎる描き方になってしまいます。
ですので「時間」と「1作品に要する体力、精神力」のバランスを考慮して進めた場合、
口だけ別のモデルでも簡単に手順を解説しておきます。先程とほぼ同様の手順ですね。
初めに6B~10Bで先に真ん中の線を描き、その後大まかに「目立つシワ」を描いていって、それらをガイドにしつつ、徐々にアプローチしていく流れです。
ある程度、シワの線を引いたら電動消しゴムも駆使してさらに細かい描写をしていきます。
補足
電動消しゴムはサンドペーパーに押し付けて、先をとがらせると細かい表現ができます。
かなりおすすめです!
あらゆる道具を駆使して、ある程度の形までもってこれたらひとまず良しとします。
下唇も繊細に描いていきます。
補足
歯が見えているパターンの口に関しては以下の記事でも解説しています。
5,鉛筆人物画 「肌全般の描き方」
当たり前ですが顔のほとんどは「肌」です。ですので肌をいかに自然に描けるかが重要なポイントになってきます。
鉛筆の芯先をしっかりとがらせ、鉛筆を寝かせて顔の「面」を意識しつつ描いていきます。
「面を意識する」とは具体的に言うと「膨らんでいる箇所は半円を描くように鉛筆を動かしていく」ということですね。
下の画像で示した矢印のように、顔のふくらみがどうなっているかじっくり写真を見ながら「顔の面」を表現していきます。
デッサンで円柱を描いたことがある人ならわかると思いますが、まさにその時のイメージで大丈夫です。
膨らんでいるところはそのまま膨らみに沿って手を動かしていくということですね。
また鉛筆画というのは絵の具と違って、「1本の線」の集合で形を表現していくわけです。
ですのでその「線」と「線」の間をなるべく空けずに描写できれば、びっちりとした自然な「面」ができあがることになります。
そして駄目押しで、その部分をティッシュでぼかしていけば、さらにリアルな肌に近づいていくわけです。これはかなり重要なところなので今後意識していって下さい。
【肌全般1】
鼻の際辺りからHBで描いていきます。必ず写真をよく見てふくらみを意識しつつ描いていって下さい。
H、HBぐらいの濃さなら簡単にボケますので、ぼかしながら色を乗せていきます。
ポイント!!
13:45秒辺りの頬の描写は物凄く大切なところなのでじっくり見てみて下さい。まずHBでふくらみを捉えながら形を整えていき、ぼかします。
そして徐々に3B、7Bと濃さを乗せていき、グラデーションを表現していくという流れになります。
【肌全般2】
うっすらとした影はHぐらいで様子を見ながら徐々に濃さを乗せていきます。
口角の下がった感じなど、しっかりとらえましょう。
【肌全般3】
おでこの際は半円を意識する感じで描いていきます。
【肌全般4】
おでこの薄っすらとした影もH、HBぐらいで描いて、そしてぼかします。
これぐらいまで光と影、おうとつを表現できれば「リアルな顔」に近づいてきます。
ポイント!!
頬、おでこのような「広い面」を描写していると、どうしても鉛筆特有の「筋っぽい感じ」がでてきてしまいます。
ただ鉛筆や色鉛筆は、その画材の性質上ある程度はこういった質感になってしまうのは仕方のないことです。
ただなるべく抑えたいという場合は、
1、手の動きを大きくせず、手首だけを動かすような小さな繊細な動きで塗っていく。
2、ティッシュやさっぴつ、綿棒でぼかす。
3、白く空白になった細かな空間をピンポイントでシャーペンや鉛筆で円を描くように埋めていく。
4、表面のキメが細かい上質のケント紙を使う。
このあたりを意識すると効果的です。
補足
ちなみに、モデルによっては「小さいニキビの集合体」や「細かい毛穴」がある場合がありますが、
そういった箇所の描き方は下の記事でまとめていますので参照願います。かなり参考になるかと思います。
6,鉛筆人物画 「耳の描き方」
耳は非常に複雑な形状をしていますので、推奨する描き方はまず濃い影の部分から6B~10Bで描いていきます。
そして、そのまま濃い部分を綿棒やさっぴつを使って伸ばしてぼかしていき、微妙な影を表現していくとかなり効果的です。
耳はぼやっとした影が落ちるパーツになりますので、綿棒、さっぴつでぼかすと最適です。
【耳1】
【耳2】
耳のような複雑なパーツは頑張った分だけ必ず絵として表れますので根気強く描いていって下さい。
補足
別パターンの耳の描き方はこちらです!!
7,鉛筆人物画 「首の描き方」
肌の章でも触れましたが首はまさに「円柱」の形をしていますので、半円を描くように表現していくのがベストです。
私はなるべく各パーツにおいてなるべく「濃い部分」から描くようにしています。その方が濃さの基準ができるので、その後の色分けがしやすいからです。
際の辺りから9B、10Bで描いていき、やや薄いぐらいのところは7Bで描いています。ぼかしも入れつつ濃さを調整していきます。
【首1】
【首2】
円柱のような形状を意識して手を動かしていきます。しっかり濃さを乗せます。微妙なふくらみもしっかり捉えていきます。
シワもしっかり描きながら、明るい部分はH、HBぐらいで攻めていきます。
【首3】
さっぴつ、練ゴム、ホルダー型消しゴムで細かく描写を入れていきます。
【首4】
首にしっかり濃さを乗せることで顔が浮き立ってきますので、濃い所には10Bで濃さを乗せていって下さい。
8,鉛筆人物画 「髪の描き方」
髪の描き方については、以下の記事も是非参考にしてもらえればと思います。
静止画での説明となりますが、かなり詳しく手順をまとめていますので。
初級者の方はシャーペンで形を整えながら徐々に濃くしていくという流れで描いていって下さい。
今回は撮影上の関係で、エリアごとに濃さを完結するような描き方で描いています。
【髪1】
【髪2】
【髪3】
【髪4】
向かって左下部分は当コンテンツを早めに公開したかった都合上、省略させてもらいました。
描き方としては、シャーペン、Hぐらいで複雑な形を整えながら、徐々に濃くしていくという流れです。
9,鉛筆人物画 「最終調整と完成図」
最終調整です。最後の大切な工程になりますのでしっかり行っていきます。
まず、写真通りの濃さが乗っているかどうかを確認するための効果的な方法の一つとして、絵を「逆さ」にして見てみるということです。
人間の目は長時間同じ物を見ていると慣れが生じてきてしまい、被写体との濃さの違いが認識しづらくなってきてしまいます。
一度、絵と被写体を逆さにして見てみて下さい。驚くほど見え方が変わってくるはずです。描写漏れなども再確認できます。
最後に離れて作品を見て、濃さを微調整し、各所を加筆して完成となります。必ず少し離れて眺めるようにして下さい。
服部分は写真の通りにそのまま根気強く模写しただけです。ちなみに制作時間は35時間程でしたね。
10,鉛筆人物画 「まとめ」
顔に限らず、鉛筆で何かの形を表現するには絶対に「濃さ」を乗せなければなりません。
濃さがあるから形がハッキリしてきて「鼻」だの「口」だのと、物体を認識できるようになるわけです。
薄い絵では面白みに欠けますし、パソコン上でもはっきりと写りませんね。
これから鉛筆人物画を描いていく人は、まず基本的なところで鉛筆は10B~Hは必ずそろえておくようにして下さい。そして紙も必ずケント紙を使うようにして下さい。
紙の大きさもB4サイズ以上でないと細部が描き込みづらいので上達速度が遅くなる可能性があります。
最後に何度も言いますが、「濃さ」をしっかり乗せながら描く習慣を普段から付けるようにして下さい。
ここまで読んで頂き本当にありがとうございました。
当講座があなたの画力向上につながれば幸いです。