
口を描くコツは「光の筋」と「シワ」をなるべく正確に描いていくということです。
初級者の人にもわかりやすく解説していきます。
前半は「閉じている口」、後半は「歯が見えている口」について解説していきます。
その前にサクッと私の自己紹介だけさせて頂ければと思います。
今まで約20年程、様々な画材で人物ばかりを描いてきました。
色々な人の人物画を見ていると「口が上手く描けているかどうか」で、その画家の忍耐力、根性みたいなものが図れるような気がしますね笑 私だけかもしれませんが。
それだけ口(唇)を描くのは一苦労です。ただ頑張った分だけ必ず絵に表れますので、しっかり描いていきましょう。
目次
鉛筆で口を描く「前書き」
口は顔のパーツの中でも非常に難解で、根気のいるパーツになります。唇には無数のシワがあります。
ただ逆を言えば、光と影、シワの関係性さえある程度捉えられれば、誰が見ても「口」と認識できる「リアルな口」に仕上がります。
道具を適切に使うことがポイントです。そのあたりも含め解説していきます。
鉛筆で口を描く「閉じている口」
モデルによって「閉じている口」と「歯が見えている口」の両方がありますので、今回は両パターンの描き方を解説していきます。
まずは「閉じている口」からです。閉じている口の方が歯が無い分、少しは描きやすいかなと思います。
閉じている口 「必要な道具」
必要な道具は、
- シャーペン
- 6B~10Bの鉛筆1本
- 4Bの鉛筆
- ノック式消しゴム
- さっぴつ
- 綿棒
- ケント紙
- 閉じている口の資料
※閉じている口の資料は以下参考サイトから探してみてください
閉じている口 「描き方」
ごく普通の「閉じている口」を描いていきます。
まず描きやすい口のモデルを探し、アウトラインを描いていきます。
まず描き方の手順として、上唇と下唇の間の線を6B~10Bで濃い目に描いてしまいます。
そうするとこの線が「ガイド」の役割になり、細かいシワの位置関係がつかみやすくなります。
私の経験からもこの手順はかなりおすすめの手順です。
次に先のとがった4Bで上唇から繊細に描いていきます。ここからは根気勝負です。
光の部分を避けつつ波打っているような形状を意識しながら手を動かしていきます。同様に下唇も描いていきます。
この段階で上手くいくかいかないかの7割は決まってきますので、丁寧に描いていきましょう。
口角の辺りの唇は上に反り返っていので、半円を描くように手を動かすと丸みを表現できます。こういった細かい描写が物凄く重要です。
さっぴつで要所要所ぼかしていくと効果的です。
時に、描きやすいように紙を「逆さ」にしたり「横」に回してみてください。人間の目は同じものを同じ角度で長時間見ていると、悪い意味で目が慣れてしまいます。
そうなると観察力がマンネリ化してきてしまいますので、たまに紙を回転させて観察力に良い刺激を与えるようにしてください。
形状の細部をしっかり読み取りながら描いていきます。
ある程度、形が浮かび上がってきたら、ノック式消しゴムで光を強調していきます。シャーペンで光の形を整えながらノック式消しゴムで筋を入れていくと効果的です。
後は濃い部分は6B~10Bで、その他は4B、シャーペン、さっぴつで描写していきます。
しつこいかもしれませんが、光の筋とシワを再確認しつつ描いていってください。
全体のバランスを整え完成です。
下唇のふっくら感を出す為には、縦筋の光をこれぐらい丁寧に表現することが必要ですね。
鉛筆で口を描く「歯が見えている口」
歯が見えている口は、歯のすぐ上の「歯茎」を唇とをしっかり分けて差別化して描けるとリアルさが一気に増してきますね。
ここはかなり大切なところなので覚えておいて下さい。あとは前歯の光や奥歯の影も1本1本丁寧に描くことがポイントです。
歯が見えている口 「必要な道具」
「歯が見えている口」を描いていきます。
使用した道具は、
- 6B~10Bの鉛筆1本
- 4Bの鉛筆
- シャーペン
- ノック式消しゴム
- さっぴつ
- 綿棒
- ケント紙
- 歯が見えている口の資料
※資料は以下サイトを参照
歯が見えている口 「描き方」
まずアウトラインを描きます。
私は顔の各パーツにおいて基本的に「濃い部分」から6B~10Bで描いていき、それらを「ガイド」として進めていく流れを推奨していますので、口の濃い部分から先に描いていきます。
あくまで私の描き方ということになりますので。
上唇と歯茎の間のラインを6B~10Bで先に引いてガイドにします。そしてシャーペンでザックリ上唇を描いていきます。
次に歯茎のおうとつを読み取りしっかり描いていきます。光も忠実に描いていきます。濃い部分を6B~10B、薄めの部分を4Bで描いていきます。芯先はしっかりとがらせてから描いていきます。
次に上唇を細かく描いていきますが、先に口角の辺りを写真と同じ濃さにもっていきます。
上唇を6B~10Bで描き、さっぴつでぼかしていきます。
歯の影を描いていきます。濃い影の部分は4Bまたは6B~10Bを寝かせて描き、薄い光はシャーペンで描き、さっぴつや指でふわっとぼかします。
光っている部分は正確に捉えましょう。
下の歯も描いていきます。下唇も上唇の時と同様に、下唇と歯の境目のラインを先に6B~10Bで描きます。
そして6B~10Bを寝かせ気味にして下の歯を塗っていきます。強い光は電動消しゴムで表現します。
最後に下唇を描き完成です。
鉛筆で口を描く「まとめ」
冒頭でもお伝えしたように「口、唇」は最適な道具を使いこなせると、光やシワを忠実に表現できるようになりますので、よりリアル度が上がります。
中でもさっぴつ、ホルダー型消しゴム、電動消しゴム、シャーペンの4つは必需品となりますので、持っていない場合は必ずそろえておいて下さい。
顔の中でも「口」と「髪」は根気のいるパーツになりますので、
描く前はむしろ「もともと面倒なパーツだから時間がかかって当たり前」ぐらいに気楽構えておくと、良い結果につながるかもしれません。