リアルな人物画というのは簡単に言えば「模写」ということになると思います。

 

「模写」と自由に手を動かして描く「オリジナル作品」というものは全くの別物になります。

 

まずこの違いを認識することが模写をする上で非常に大切な考えになってくると思います。

 

オリジナル作品を描く時は、その都度、作品ごとにあなたの描きたいように自由に手を動かしながら絵を描いていくことと思います。

 

それが絵の醍醐味だと思いますし、それで良いと思います。

 

 

ただ、鉛筆でリアルな人物画を描きたい、つまり「模写」をするとなった場合は、少し違った意識を持つべきだと私は考えています。

 

 

模写をする時は、

 

毎回の描く順番、道具、チョイスするモデルの年齢性別など、それら全てを固定化する、つまりルーティン化して描いていくことで、あなた特有の描き方の癖などをあえて外し

 

あくまで「機械的に描いていく」という流れを作っていくことが非常に大切になってくると私は考えています。

 

 

毎回、ブレずに同じ描き方、同じ順序で進めていくイメージです。

 

「リアルに描く技量が足りない・・・」と悩んでいる人は、普段のオリジナル作品の描き方と模写の描き方を混同してしまっている可能性があるのではないかと思います。

 

ですのでまずは、普段の自由に描くオリジナル作品とリアルな人物の模写というものを「違うカテゴリーとして分けて捉える」という思考を持つことが重要です。

 

 

この辺りを私のルーティン化を例に、主に絵の初級者の人達に向けて解説していきます。

 

4分ほどでサラッと読めるようまとめてみましたので参考にしてみてください。

 

あくまで私の描き方ということになります。

 

ルーティン化1「描く順番」

 

人それぞれ描き方の順番があると思います。

 

ただ、毎回その描き方の順番を意識して固定化するようにして下さい。

 

毎回固定化することで描くリズムが生まれ、徐々に手の動きも一定になり、それらが正確な描写をする為の1つのルーティンワークになっていくはずです。

 

始めは大変かもしれませんがすぐに慣れてくると思います。

 

 

私は、おおまかに言うと

 

「右目」→「眉間」→「左目」→「頬の上の方」→「鼻の穴」→「鼻」
→「口」→「口の上」→「頬の下の方」→「あご」→「おでこ」→「髪」
→「その他(首、服等)」という順番です。

 

 

確かにモデルによっては多少は順番が前後する時もありますが、基本の流れは毎回同じです。

 

 

ちなみにルーティン化に慣れる為には、普段から「ストレスなく描き始める為の準備」を整えておくことが重要だと考えます。そのことに関しては以下の記事でまとめていますので、是非一度サラッとでも読んでみて下さい。

 

 

ルーティン化2「濃い部分から描く」

さらに言うと、顔の各パーツにおいて、ほぼ必ず色の濃い部分から描いていきます。

 

例えば「目」だったら黒目の中心の円から、「鼻」だったら穴から、「閉じている口」だったら上唇と下唇が重なる真ん中の線から、頬なら色の濃い際の方から、おでこなら色の濃い方から薄い方にかけて、等々・・・。

 

その方が、「ここが一番濃い部分だな」という濃さの基準が自分の中で設定出来るため、その後の中間色、薄い部分への移行がスムーズに行えるのです。

 

 

まあこれはあくまで私の順序ですが。

 

 

こういった細かい「描く順番」というものをあなた自身で確立することができれば、100%上達への道が加速していきます。

 

何も考えずにオリジナル作品の延長線上で描くのとでは雲泥の差が生まれてくるはずです。

 

 

 

ルーティン化3「道具」

道具もほぼルーティン化していて、鉛筆で言うと、

 

凄く濃い部分、それなりに濃い部分を全て10Bを寝かせて描いていき、中間ぐらいの濃さを4Bで描き、薄い色の部分をシャーペンで描いていくといった流れになります。

 

基本、私はこの3種類で描いていきます。

 

その後、適切な道具でぼかしていきます。ぼかすことに関してはこちらの記事で詳しく説明しています。

 

 

 

鉛筆のメーカーも「ハイユニ」、「カランダッシュ」で今のところ固定しています。

 

消しゴムも毎回、練ゴム、ホルダー型消しゴム、電動消しゴムの3種類を机の上に置いています。

 

 

ルーティン化4「モデル選び」

 

これに関しては、「模写に慣れるまでは・・・」といった感じで意識してもらえればと思います。

 

最初のうちは、毎回描くモデルが老若男女バラバラだと肌の質感などが全く違う為、画力修得の速度が非常に遅くなってしまう可能性が懸念されます。

 

ですので、初めは肌の質感を描きやすい「成人女性」または「少女」辺りをチョイスして集中して描いていくということを強くおすすめします。その方が圧倒的に効率的だと思います。

 

模写に慣れてきたら「シワの入り組んだ老人」などに挑戦してみるというのもアリかなと思います。

 

人物の資料選びはこちらのO-DANというサイトがおすすめです。

 

まとめ

 

色々と私の見解を述べてきましたが、簡単に言えばあなたが毎回最高の力を発揮できる描き方を確立できればそれで良いのだと思います。

 

何作品か描けば、どんどん「自分の進め方」というものが定着してくると思いますので、是非ルーティン化を意識して描いていって下さい。

 

顔の各パーツの描き方に関しては下の記事を参考にしてみてください。