私は主に鉛筆で人物画を描いている画家のKeigo Nです。
今までの経験から得た、「鉛筆画を濃く描くことの重要性」についてお伝えしていきたいと思います。
私は主にリアル寄りの人物画を描いていますので、その辺りの観点から話を進めていきます。
4分程でサラッと読めるようまとめてみました。
「濃く描くこと」の重要性
個人的な見解も含めつつ・・・鉛筆画の魅力は何と言って「濃さ」だと思っています。輪郭線等がうまく描けていても、色の薄い鉛筆画では「惜しい絵」になってしまいます。
私なりに鉛筆画における「濃さの重要性」というものを考えてみると、
fa-check-circle濃さがあるから絵が「ハッキリ」する
fa-check-circle原画通りにスキャンできる
fa-check-circle鉛筆画の迫力が増す
ということになります。
この辺りを少し掘り下げます。
「濃さがあるから絵がハッキリする」
この「濃さがあるから絵がハッキリする」、これが一番伝えたいことです。
例えばリアルな人物画で言うならば・・・
濃さが乗ると「強い影」が表現できる
↓
光の部分が浮き立つ
↓
各所のふくらみが浮き出る
↓
「小鼻のふくらみ」や「頬骨のふくらみ」等を認識できる
↓
「リアルな顔」と判断できる
ということになります。
この辺りの詳しい解説は以下の記事も合わせてどうぞ。
要は濃く描くことで「顔と認識できる情報を増やせる」ということになります。
原画通りにスキャンできる
そして、今やSNSに作品をアップすることが当たり前になってきている時代です。
そうなると当然、努力して描いた絵を「原画通りの状態で多くの人に見てもらいたい」と考えるのが普通だと思いますが、
ここで色が薄い鉛筆画だと、スキャンを取っても細部まで絵が読み取れないという状態に陥ってしまいます。
スキャンの設定を濃いめにしてみても、画像加工ソフトでコントラストを上げてみても、原画通りの絵には中々なりません。私も何度も経験しました。
ですので、最初からWebやSNSにアップすることを前提に、ある程度の「濃さ」を乗せておけば色々とスムーズにことが運びます。
鉛筆画をスキャンする時の注意点などは下の記事で解説していますので是非一読願います。
濃さに魂が宿る
また「濃く描くこと」で絵に描き手の意思がこもり、それが見る側にも「迫力」として必ず伝わるはずです。薄い絵ではおそらく・・・それなりの印象の鉛筆画になってしまうことでしょう。
あえて薄く力無い感じの鉛筆画を描く人もたまにいますが・・・、それはそれでそういう意図で描いた鉛筆画ならアリかなあとも思います。
「濃さの不足」や「描写漏れ」を把握する方法
上記で「濃さ」の重要性自体を語ってきましたが、例えば人物の模写をしていて、
「だいたいうまく描けてる気がするけど、何かまだ違和感がある・・・」と感じてしまう時はないでしょうか?
私も長年そんなモヤモヤを感じていました。
そして、その場合のほとんどはまさに細部の描写、濃さが足りていないということが原因なのです。
それならば単純に細部の描写、濃さを足していけば良いのでは?となるかもしれませんが、
そもそも自分の絵のどの辺りの描写がまだ不十分なのか?どの辺りの濃さが足りていないのか?ということをしっかり把握できていなければ、闇雲に描写を足しても良い絵にはなりません。
そこで、そういった描写の不足箇所を見つける為の有効な手段の一つとして、「絵を逆さにして見てみる」というやり方があります。
上の画像は私が描いた人物画の途中段階を撮影したものです。
左の写真と比べて、右の絵の方は、下唇のすぐ下あたりの濃さが足りていないのがおわかりになるでしょうか?ちょうど鉛筆で指し示している辺りです。
この「濃さの不足」は絵と写真を「逆さ」にしたことにより把握ができた違いです。
なぜかと言うと、人間というのは長時間おなじ物を見ていると悪い意味で目が慣れてきてしまうからです。
ゆえに、絵の中盤以降になってくると、絵と写真との違いが認識しづらくなってきてしまい、その為「描写漏れ」や「濃さの不足」といったことになってしまうのです。
そこで、一度、上の画像のように絵と写真を逆さにして見てみてください。驚くほど「描写漏れ」や「濃さの不足」を把握しやすくなるはずなので。
絵はちょっとした工夫が結構大切です。
まとめ
鉛筆という画材は単純な画材であり、他の画材にも精通する基本となる画材です。
それゆえに絵の基本が「鉛筆デッサン」ということになるのだと思います。
普段絵の具を使って人物画を描いているという人は今一度、基本中の基本となる画材「鉛筆」に立ち返ってみることをおすすめします。
そうすれば、現在の自分の生の画力を把握できますし、そのことでこれからの正しい努力の方向性も見出せるのではないかと思うのです。