初めまして創作人物画家のKeigoと言います!
今回は主に初心者さん向けに「鉛筆で下書きをする時の具体的な2つの方法」についてわかりやすく解説していきます。
まず、世の中には多くの画材が存在しています。油絵、アクリル、水彩、パステル、色鉛筆、つけペン、マーカー・・・、さらに描くモチーフも人物、風景、動物、植物、静物、キャラクター、創作系と様々なものがあります。
ただどんな絵を描くにしてもほぼ必ず「下書き」はしますよね。しかもすぐ消せる鉛筆で下書きをするケースがほとんどだと思います。
ですので今回お伝えする内容は「あらゆる絵描きさんに共通してお役立ち頂ける内容」となっております。
一度覚えれば、今後永久に使える技術になりますので是非今後の制作でご活用頂ければと思います。
それでは解説していきます!!
1,鉛筆での下書き「トレース」
「トレース」とは写真の上から輪郭線をなぞることで線を紙に転写させる技法のことです。トレースは私も一番活用している転写技法ですね。
まずトレースを利用することであなたが得られる3つの利点について解説していきます。
「トレース」の3つの利点
【1、正確な輪郭線が描ける】
これこそがトレースの最大の利点と言っていいと思います。例えばあなたが「推しのアイドル」や「好きな女優」や「ペットの猫」の絵を描こうとなった場合、
完全フリーハンドで一から描くとなると、相当なデッサン経験がない限り正確な輪郭線は中々描けません。特に「人物画」は、目の位置が少しズレただけでも「違う人物」になってしまいます。昔は私も何度も経験しました。笑
それに強引にフリーハンドで進めた場合、描いては練ゴムで消して、また描いては消してを繰り返していると紙が確実に傷んでしまいます。一度紙が傷んでしまうと、もうその時点で良い絵にはならない可能性が高いです。
ですので特に「人物画」を描く場合は割り切ってサクッとトレースで輪郭線を描いてしまうことを強くおすすめしています。
【2、輪郭線の内側の描写に集中できる】
これもかなりお伝えしたかった利点です。例えば人物画を描いていて、トレースで輪郭線を描いたならばそれらの線が絶対的な「ガイド」になってくれるわけです。
正確なガイドがあれば、例えば下の画像で言うと、
「鼻の端っこの影がここにあるから・・・そうなると影から穴までの形状がどうなっているか・・・うんうんなるほど距離が正確だから形状も読み取りやすいな。描き順もだいたい想像しやすいぞ。
影を描いてから次に穴を塗って、穴の際をさっぴつで反り返るようにぼかしつつ、その流れで小鼻の丸みを表現していこう」
みたいな感じで実際の描き順なども頭の中で想像しやすくなるわけです。
今回はあくまで私の描き順で説明しましたが、今後トレースを活用すると正確なガイドを頼りに「あなたなりの適した描き方、進め方」というものがどんどん見えてくるようになります。そして画力も磨かれていきます。
これこそが輪郭線の内側を表現する「描写力」につながっていくわけです。
「輪郭線もフリーハンドで完璧に描きたい!」という場合は、それはもうひたすらデッサン力を磨くしかありません。
【3、圧倒的に制作時間を短縮できる】
私が当時通っていた原宿の専門学校のプロイラストレーターの講師も「時間短縮の為にトレースを活用している」と言っていました。
またエアロスミスのCDジャケットを担当した世界的にも有名な空山氏も本の中で同じことを語ってらっしゃいますね。
出展:https://renote.jp/articles/4351
締め切りと常に格闘しているプロの絵描きさんたちは「時間」というものが何より大切になってきます。それゆえに無駄を省いて作業を効率化していく方向に考えが進んでいくわけですね。
プロの絵描きでなくとも作業時間を短縮できれば、体力面と精神面に余裕がでてきますので、集中力の継続にもつながり結果、良い絵が描けるようになります。
「トレース」のやり方
トレースの具体的なやり方は以下のページに詳しくまとめてみましたので、じっくり読みながら進めて下さい。
1つ、トレース時に使う便利な道具として「鉄筆」を超おすすめしております。
鉛筆でトレースすると途中で芯先が折れてしまったり、線自体が少し太くなってしまったりと多少のストレスを感じることがありますが、鉄筆なら折れる心配もありませんし、常に一定で細い線が転写できます。
別名「トレーサー」とも言われているぐらいなので。
※(鉄筆にも先っちょのサイズが色々ありますので購入時には要注意です)
2,鉛筆での下書き「グリッド」
トレースと並ぶもう1つの転写技法が「グリッド」です。グリッドとは写真と紙の両方に同じサイズの方眼線を引き、その方眼線が交差した点をガイドにして輪郭線を描いていく技法のことです。
ですのでフリーハンドとトレースの中間に位置するようなやり方になりますね。ということはつまりある程度のデッサン力が求められるということになります。
方眼線というガイドがありつつも基本はフリーハンドになりますので。
「グリッド」の2つの利点
【1、徐々にデッサン力が鍛えられる】
あくまでガイド線があるので、徐々にですがデッサン力は上がっていきます。
「縦から6番目と横から7番目のマスに右目があるから・・・だいたいこの辺りから二重のラインを描いていこうか」
みたいな感じで、ガイドを頼りつつも「見る力」は鍛えられていきます。
【2、トレースの罪悪感からの解放】
昔ほどは聞かなくなりましたが、それでも未だにSNSで「トレースはちょっと抵抗がある・・・」といった投稿を見かけることがあります。
まあ確かに絵描きとしては「全てフリーハンドで描いた作品です!!」と言えればそれがベストですよね笑 気持ちはめっちゃわかります。
ですのでグリッドで質の高い作品が描ければそれに越したことはないわけです。
ただ先程も言いましたがフリーハンドで質の高い作品を描く場合にはある程度のデッサン力は必要になります。
「グリッド」のやり方
グリッドのやり方についてはまだ私の方でまとめていませんので、以下のチュートリアル動画を掲載しておきます。
外人さんの解説ですがやり方自体は充分につかめると思いますので。
3,鉛筆での下書き「まとめ」
鉛筆で下書きをする方法として主に「トレース」「グリッド」と完全なフリーハンドの3つのやり方がありますが、
どれを活用するかは「今のあなたの画力」と「あなたが今後どんな絵を描いていきたいのか?」ということを意識して決めていくのが一番良いと思います。
例えばひたすらリアルを追い求めたいのならもう「トレース」一択で良いと思いますし、「ある程度のリアル」ぐらいを求めつつデッサン力も上げていきたいのなら「グリッド」に挑戦してみるのも良いと思いますし、
「フリーハンド」で描いた味のある線に魅力を感じ、あえてフリーハンドで夕暮れの風景を描きたいというのであればそのままフリーハンドで良いと思います。
勿論、絵によって使い分けるというのでも良いと思います。いずれにしても「鉛筆での下書き」というのはとても大切な工程です。
私の個人的な考えとして、「下書き」の時点で絵はすでに始まっていると思っています。
今までの経験で下書きを適当に描いて上手くいった絵は1つもありませんね笑
ですので下書きにどれだけ時間をかけたか?ということが良い絵の絶対的な基準となると考えています。
さらに模写ではなく創作画なんかの場合は、下書きの段階で細かいパーツ1つ1つに至るまでしっかりと完成形を描いておかないと後々失敗の原因にもつながります。
普段から下書きをしっかり描く習慣を身に付けておくことが物凄く大切なことです。