創作人物画家のKeigoです。
今回は、
を解説していきます。
この方法は万人向けではありませんが、慣れれば「手描き感のない極細線」を引けるようになります。
目次
鉛筆画で光った極細線を引く1つの方法「アートナイフ」
まず初めに今回使う道具は「アートナイフ(デザインナイフ)」という道具になります。
「X-acto knife 3201(エグザクトナイフ)」
「オルファ アートナイフ 157B」
このアートナイフを使うことで真っ黒い背景の中に不自然なほどピカッと浮き立つ「光の線」を表現することができます。
さらに「手描き感のないリアルな線」を引けるのが一番の特徴です。
この「アートナイフ」は特殊なアイテムではありますが、慣れてしまえばあなたの作風に幅を持たせることもできます。
本来の用途は、プラモデルなどを作る時に部品をカットする為の道具ですね。
最近では海外アーティストでもこのアートナイフを巧みに取り入れている人が数名いますので、マスターしてしまえば作品の質を一つ上に押し上げることも可能です。
それでは基本的な使い方と注意点を解説していきます。
とその前に、まずは私が実際にアートナイフを使った時の動画を見てみて下さい。イメージをつかめると思います。音声も残してあります。
鉛筆画で光った極細線を引く1つの方法「重要な下準備と実際の使用方法」
それでは道具や下準備、実際の使用方法について解説していきます。
紙について
まず「紙」ですが今回はケント紙「エスケント ピュアケント」を使用しました。
画用紙、水彩紙でも検証済です。おそらく他の紙でも大丈夫だと思います。
ちなみに鉛筆画、色鉛筆画でリアル系を描くならケント紙一択で大丈夫です。是非覚えておいて下さい。
下準備について
そして重要な下準備ですが、まず始めに「アートナイフで極細線を引きたい箇所を色鉛筆の白で前もって塗っておく」ということですね。下地を作るということです。これがかなり重要な工程になります。
この下地を塗った時と、塗らない時とでは削れ方の深さ、滑らかさが明らかに違います。時間があれば一度下地なしの状態で削ってみてください、違いがわかります。
白い色鉛筆は安すぎるものでなければメーカーは何でも良いと思います。
実際の使用方法「基本形」
下地の上から普通に鉛筆、色鉛筆で塗り潰していきます。
塗り潰した部分をアートナイフの先端で削っていきます。アートナイフの刃を立て気味にして持ち、普通ぐらいの筆圧でスーっと手を動かすと下の画像のように一本筋が入ります。
アートナイフの角度によっては色々な質感の表現ができます。
以上が基本的な使い方となります。改めて先程の動画を載せておきます。
私の方でアートナイフについて色々なケースを想定して試してみましたが、やはり「6B~10Bぐらいで濃く塗った箇所が一番スムーズに削れる」という検証結果が得られました。
やはり濃く塗り潰す「髪」「ヒゲ」で使うのがベストです。それ以外の部分には使わないほうが無難です。
濃いめの眉毛なら試してみても良いと思います。
あと基本的に長い線を描く場合はちょっと不向きなりますので比較的、短めの線を描く時に使うようにして下さい。
実際の使用方法「応用編」
一度アートナイフで削っただけでは、まだ明るさが足りないという場合はホルダー型消しゴムでさらに明るさを出していきます。
アートナイフで削った部分をピンポイントでホルダー型式消しゴムで消していきます。
まず下の動画の3:35あたりから見てみて下さい。
ホルダー式消しゴムを一度紙面につけたら、そのまま離さずにグッグッと前後に動かしながら強めに消していって下さい。
紙面につけたり離したりを繰り返してしまうと周りの黒が白い部分にはみ出してきてしまうので注意が必要です。少し練習すればすぐに慣れます。
しっかり消せれば下の画像のように線だけがうまく明るくなります。線が太くなり過ぎたら鉛筆、色鉛筆で調節すればいいだけです。
鉛筆画で光った極細線を引く1つの方法「色鉛筆編」
ここまで鉛筆メインで実証してきましたので、今度は色鉛筆でも検証していきます。
鉛筆画で光った極細線を引く1つの方法「削れなくなった時の対処法」
このアートナイフの一番のデメリットとしては、少し使っているとすぐに刃こぼれして削れ具合が悪くなるという点です。
そこでうまく削れなくなった時の対処法として、例えば右利きの人ならカタカナの「ノ」の字とは逆方向に、手前から奥に手を動かして何度か研いでみて下さい。そうすると切れ味が復活します。
ちなみに、試しにアートナイフ研磨用の「耐水ペーパー800番(サンドペーパー)」で刃を研いでみたところ・・・
逆に刃の先端が丸まってしまいうまくいきませんでした・・・笑。やはり先端だけうまく研ぐなんてことは出来ないようです。
何をやっても削れなくなったら刃の替え時です。
鉛筆画で光った極細線を引く1つの方法「2種類のアートナイフ詳細」
改めて私がおすすめする2種類のアートナイフを紹介します。
◆「X-acto knife 3201」
このアートナイフは替え刃「X-acto knife 替刃 #11 X-21」が別売りなので注意が必要です。
このアートナイフは軽いので抜群に使いやすいです。海外アーティストでもほとんどの人はこのX-acto knifeを使っています。ただキャップがないので保管には少し注意が必要です。
替え刃は別売りとなりますので、X-acto knifeを購入する場合は替え刃も一緒に購入してしまうのが良いかもしれません。
◆「オルファ アートナイフ 157B」
このアートナイフは元々替え刃が付属しています。
X-acto knife 3201に比べ少し重みがあるものの、切れ味も滑らかで非常に使いやすい良品です。
こちらは元々キャップと替え刃が付いているタイプです。ただ上の画像で言うと左2本のタイプの刃しか今回の用途には使えませんが。
鉛筆画で光った極細線を引く1つの方法「鉄筆との違い」
極細線を引くもう一つの方法として「鉄筆」を使うという手もあります。
鉄筆との違いについてですが、鉄筆は初めに紙に筋を付けていくわけですが、「その筋がどんな線になるのか? どれぐらいの太さになるのか?」というのは、
実際に描き進めてみないとわからない部分があります。
さらに濃く塗ってしまった後に「あ~ここにも鉄筆の筋を入れておけばよかった・・」なんてこともたまにあったりします。
その点アートナイフなら描き進めながら同時に光の線を表現していくことも可能になるわけです。
ただ今までお伝えしてきたようにアートナイフはそれなりに癖のある道具なので、多少の慣れは必要になってきます。
また動物の毛並みなど、大量に線を描きたい場合は絶対に鉄筆の方が向いています。
ですので鉄筆とアートナイフの一長一短を理解しながら、場面場面で最適な使い方をしていければあなたの絵がどんどんレベルアップしていくことは間違いありません。
ちなみに「リアルな髪の毛」を描く方法は以下で解説しています。初級者さんにもかなりわかりやすく解説しています。