私はよく絵の中に「トレース」を組み込みます。なぜなら作品の完成度を上げることを優先させているからです。絵は結果が全てだと思っています。

 

絵は色々な描き方があっていいのだと個人的に強く思っていますし、やり方や規則に縛られるより「結果、どう面白い絵にできるか」ということを優先させる方がより現代アートの時流に沿っているのではないかと考えています。

 

もちろん基礎的な技術力は絶対必要だと思いますが。

具体的なトレース方法はこちらで解説しています。合わせて読んでみて下さい。

「トレース」を組み込んで完成度を上げる

トレースとは写真を上からなぞることで紙に線を転写させていく技法の一つです。

 

たまに「トレースは邪道だ」という意見も聞きますが、私は1ミリも気にしません。むしろ邪道を進みたいです。というか邪道だと思っていません。

 

 

下の絵は数年前に描いた絵です。老婆の顔はトレースを利用しました。

 

どんな絵を描こうかと考えている原案の段階でふと、むかし夢で見た老婆が頭に浮かんできたので、物悲しい表情の老婆を描こうと決めました。

 

その場合、老婆特有の「物悲しさ」を表現する為には絶対にシワを正確に捉えて描かなければならないと考え、ここは100%トレースだと思い描き始めました

 

トレースだとシワの1本1本の位置が正確な為、光、影を短時間で捉えることができますし、また何より完成度があがり作品としての迫力を増すことができます。

 

プロも「トレース」を利用している

最近はyoutubeでリアルな人物画を描く海外アーティストの作画風景を簡単に見ることができるようになりましたが、トレースで描き始めている人の動画をとてもよく見かけます。

 

下の2つの動画ですが、描き始めに見える鉛筆の線はおそらくトレースで描いたと思われます。なぜなら線の筆圧がトレース特有の一定の規則的な線だからです。私の経験からそのような予想が付きます。

 

これも完成度のアップと作業時間の短縮を考えてのことだろうと思います。

 

 

 

出展:https://casabrutus.com/design/64483

出展:https://renote.jp/articles/4351

 

またAIBOのデザインやエアロスミスのCDジャケットのイラストを描いた世界的にも有名なエアブラシのゴッドファーザーと呼ばれる空山 基氏も著書の中で、

 

「デッサン至上主義の人は写真をトレースすることをいやがるけれど、僕はあるものを使って何が悪いって思うほうなんだ。」

リキテックス大全

 

といった内容のことを語っています。

出展:リキテックス大全

出展:リキテックス大全

 

これも限られた時間で重厚な作品を作らなければならないというプロとしての自覚から生まれた考えなのでしょう。

 

 

また、当時通っていたイラストの専門学校の先生も、普段はリアルテイストのイラストを描いている現役のイラストレーターなのですが普段のイラストの仕事で普通にトレースを利用して絵を描いている」と語っていました。

 

このように「トレース」は作業時間を短縮して作品の質を一つ上のステージに押し上げてくれる効果的な技法の一つと言うことができると思います。

 

 

ただ、画力が著しいうちからトレースに頼り過ぎてしまうと間違った方向に進んでいってしまいますので、画力が備わり自分の描きたい絵の方向性が確立されたら、ここぞという場面でトレースを活用すると、必ずあなたにしか描けない独自の世界が描けるようになるはずです。

 

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