鉛筆は最強の画材です。そして最も基本となる画材です。私もよく鉛筆画を描いています。

 

※この絵はペンも使っています

 

高校生の時、美術の先生に「絵の具でリアルな絵を描いてみたい」と言ったところ、

 

「まずは鉛筆で描けるようになりましょう、一番簡単で扱いやすい画材でうまく描けなければ、他の画材を使ってもなかなか難しいですよ」

 

と言われました。

 

その時は「そういうものかなあ・・・」と半信半疑でふわ~と捉えていましたが、時が経つにつれそのことの本当の意味がわかるようになってきました。

 

私は絵の道を本格的に目指すようになってから、ペン、アクリル、色鉛筆、デジタルといくつかの画材を扱って絵を描いてきましたが、

 

全ての基本となっているのが鉛筆だと確信をもって言うことができると思います。

 

鉛筆の特性

 

改めてですが、鉛筆という画材の特性を挙げてみます。

  • 自由自在に扱える
  • 簡単に消せる
  • 黒1色なので光と影を理解しやすい
  • ぼかす表現が簡単にできる
  • 安い

 

一番上に挙げた「自由に扱える」ということが全てになってくると思うのですが、自由に扱えるということは濃淡や質感を描きやすいということになります。

 

濃淡や質感を描けるようになれば、そのままの感覚で他の画材に移行しても「応用」が利きやすくなります。

 

その後、それぞれの画材の特性を学ぶことで自分の求める絵に限りなく近づけるようになるはずです。

 

 

別の言い方をすれば鉛筆で描けるようになれば、いずれどんな画材も扱えるようになるということです。もちろん努力は必要ですが。

 

そういった理由からデッサンが「絵の基礎」という位置づけになるのでしょう。

 

 

 

これから鉛筆画を学びたいという人に向けて、「鉛筆画に必要な道具と使い方」について以下の記事でまとめましたので合わせて読んでみてください。

 

また、「鉛筆画のおすすめの入門書」についても以下の記事でまとめています。

 

おすすめのメーカー

私が一番お勧めする鉛筆はユニです。おすすめする一番の理由は単純に「紙に触れた時の感覚がなめらか」だからです。

 

他のメーカーと比べて描き心地が抜群です。比べたメーカーは後述する「ステッドラー」「トンボ」です。ユニにはグレードがあり「ハイユニ」が一番質が良く、次に「ユニ」、一番下が「ユニスター」となっています。

 

私は鉛筆画の魅力は「濃さ」だと常々考えています。どんなにうまく描けても、色が薄い絵では迫力に欠けてしまいます。

 

従ってメインに10Bのハイユニを使っています。

 

ちなみにユニと並ぶ鉛筆メーカー(画材メーカー)で「ステッドラー」がありますが、このメーカーの鉛筆は私には合いませんでした。

 

なぜなら描き心地がヌメっとしているような感覚を覚えたからです。

 

ただこのメーカーを進めている人をインターネットでよく見かけますので、もし色々試してみたいという人は一本買ってみるのもいいかもしれません。

 

 

鉛筆に「立ち返る」ことの重要性

水彩、アクリル、油絵等、好きな画材で絵を描いているという人の中で、「最近、思い通りに絵が描けない」という人がいたら今一度、鉛筆に立ち返ってみることをお勧めします。

 

 

例えばですが、アクリル絵の具を使って人物の絵を描いているとして、「どうも鼻の光、影、色がうまく表現できない」といった状況に直面したとします。私も鼻が苦手でした。

 

それはおそらく、鼻の形をしっかり捉えることができていないということになりますので、そういう時は改めて別の紙に鉛筆で鼻だけを描き直してみることをお勧めします。

 

そうすれば改めて小鼻がどのあたりから膨らんでいるのか、鼻の中で一番高い箇所はどこなのか、それに伴って光がどこに当たっているのか、影の一番濃い部分はどこなのかといった形状を正確に捉えることができるようになると思います。

 

 

人物画以外でも「うまく描けない」という時は、物の形を正確に捉えられていないということになりますから、その場合は一番扱いやすい画材の鉛筆で描けるかどうかを再確認することが上達の一番の近道になるはすです。

 

絵の各分野におけるスペシャリストは皆、鉛筆をしっかり使いこなせるはずです。

 

私も画風が定まらなかった当時は「自分の絵とは何か・・・」とよく考えこみました。そんな時は最強の画材である鉛筆で絵を描くことで自信を取り戻せることができました。

 

今現在絵で伸び悩んでいると感じる人は改めて鉛筆に立ち返ってみることを強くお勧めします。

 

世界の若きハイパーリアリズム鉛筆画家

近年、鉛筆で描いたハイパーリアリズムという分野も注目されています。いかに写真に近いような絵を描けるかといったリアリズムを追及した分野になります。

 

カリーム・ワリス・オラミルカン

ナイジェリア人のカリーム・ワリス・オラミルカンという当時11歳の少年は鉛筆だけで下の写真のようなリアルな絵を描きます。

出展:https://pwa.gigazine.net/news/20180721-11-year-old-hyper-real-art

 

若干11歳とは思えない程、リアルな絵を描くオラミルカンは瞬く間に世界の注目を集め、フランス大統領のエマニュエル・マクロン氏から絵の依頼を受けるようにもなったらしいです。

 

ディエゴ・ファツィオ

彼は23歳(2019年現在は29歳)でこの写真のような絵を描きました。

出展:https://www.deviantart.com/diegokoi/art/S-O-L-A-791985001

彼の作品にはこのような水を浴びる女性がよく描かれています。描き方としてはデッサンのように全体的に描くのではなく、端から一気に描き込んでいくという描き方で進めているようです。