リアル系のパステル画をメインに描いているKeigoと言います。よろしくお願いします!! 作品をいくつか掲載しておきます。

 

 

 

 

 

今回は「リアルパステル画の下書きは「トレース」が必須!!」ということで、輪郭線を下書きする時のノウハウについて色々お話していこうと思いますので是非最後までお付き合い下さい!!

 

系統としてはリアル系を好んで描いている人により一層お役に立てる内容なんじゃないかなあと考えております。

 

 

それでは始めていきます!!

 

リアルパステル画の下書きは「トレース」が必須
1.「トレースのやり方」

 

 

リアルパステル画はやはりトレース”で下書きするのが一番確実ですね。正確な輪郭線があってこそ内側の描写に注力できるようになるわけです。

 

 

基本的なトレースのやり方ついては以下の記事でまとめていますので、是非こちらを参考にしてみて下さい。

 

鉛筆画の記事ではありますが、基本的なやり方はパステル画でも同じです。

 

リアルパステル画の下書きは「トレース」が必須
2.「トレースの利点」

 

 

改めまして「トレースとはなんぞや?」というところも含めトレースの利点についてお話していこうと思います。

 

 

トレースとは写真を上からなぞることで紙に線を転写させる技法の一つなのですが、たまに「トレースは邪道だ」という意見も聞きますが、私は1ミリも気にしませんね笑。リアルパステル画は文字通り「リアルさ」を優先させた分野なので、ここはサクッと受け入れてトレースを取り入れるべきです。

 

 

パステル画ではないのですが、下の絵は数年前に私が描いた鉛筆画です。老婆の顔はトレースを利用して描きました。

 

 

どんな絵を描こうかと考えている原案の段階でふと、むかし夢で見た老婆が頭に浮かんできたので、物悲しい表情で老婆を描くことに決めました。

 

 

その場合、老婆特有の「物悲しさ」を表現する為には絶対にシワを正確に捉えて描かなければならないと考え、ここは100%トレースだと思い描き始めました。

 

 

トレースだとシワの1本1本の位置が正確な為、光、影を短時間で捉えることができますし、また何より完成度があがり作品としての迫力を増すことができます。

 

 

リアルパステル画の下書きは「トレース」が必須
3.「複雑なモチーフはトレースを複数回行う」

 

 

さあ今回お伝えしたかったテクニック的な話がこれなんですが、先程もお見せしたこの「木立のある風景」という作品ですが、この作品は完成までにトレースを「3回」行いました。

 

 

なぜ3回トレースをするのか? どんな流れで3回トレースしたのか?というところですが・・・実はあまり教えたくないのですがせっかくこの記事にたどり着いたあなたとはご縁がありますのでガッツリ教えちゃいます。

 

 

 

 

さあまずはトレースの手順ですが、プリントアウトした資料の裏面をソフトパステルの黒で塗りつぶします。塗り終えたら指でビッチリ隅々まで伸ばしていって下さい。そうしたらこれをもう1セット繰り返してください、そうすると複数回のトレースでもかすれないぐらいの濃い黒色が出来上がります。

 

【1回目のトレース】

 

1回目のトレースは、背景の空の水色を塗るために大体の木のフォルムを把握するためのトレースになりますね。やはり紙全面に水色を塗るのは意味がわからないですし、効率が悪すぎますので、ザックリ木のフォルムに沿って空の水色を塗っていきます。そのためのトレースになります。

 

 

そもそもなぜ鉛筆ではなく「ソフトパステルの黒」でトレースをするのか?というと、2回目以降のトレースが、すでにパステルの粉が乗っかった上にトレースしていくので、濃度の高いソフトパステルでないと黒い線がしっかり転写できないからなんですね。

 

 

実際、同じ状況下で「鉛筆」や「白いソフトパステル」でも何回か実験しましたが、色がかすれてしまい見事に上手くいきませんでしたね。

 

★超重要ポイント★
超重要なポイントですが、先程お伝えした「トレースのやり方」と同じ手順で進めたと仮定して、1回目のトレースが終わったら3か所貼り付けたテープのうち、上部2枚は貼り付けたままにしておき、横の1枚だけをはがすようにして下さい。
そうすればその後の描写も問題なく進めますし、次にまたトレースをしたい時にも資料を再び被せて、横の1枚を貼り付ければまたピタッと同じ位置にトレース線をひけるようになりますので。
まあ文章だとちょっとわかりづらいかもしれないので、是非実際に試してみて下さい。すぐに理解できると思います。

 

 

【2回目のトレース】

 

さあ、これが2回目のトレースです。このように空の水色の上から黒い線を転写していくことになるので濃度の高いソフトパステルの黒が必要になるわけですね。御覧の通り黒い線がはっきりでているのがわかると思います。

 

 

そして、このような手順で木の葉の輪郭線を描いていけば、空との境界がきれいになることがわかると思います。水色の上から存分に木の葉を描いていけますよね。こういった正しい手順を踏むためにも複数回のトレースというものが有効になってくるわけです。

 

 

一応、木を描き進めるとこういう感じになりますね。

 

 

 

【3回目のトレース】

 

さあラストの3回目が自転車のトレースになります。完成間際の大切なパートになりますね。

 

 

これも2回目のトレースと同様、複雑に描き込んだバックの「畑」や「草原」の上から自転車を描いた方が明らかに描きやすいですよね笑 ただそれだけのことなんですよね。自転車と畑と草原の「境界」をきれいに保つという大切な意味合いがあるわけです

 

 

さらに見ての通り自転車はかなり複雑な形をしていますよね、これを例えば無理して1からフリーハンドで描いてしまい、失敗しないまでも微妙な仕上がりになってしまった・・・なんてことになったらもう目も当てられません・・・笑。

 

 

自転車はメインのモチーフですし、完成間際でこれではぐったりきてしまいますね・・。なので完成度を上げるという意味でもトレースは重要な技法の1つなのです。

 

 

まあ今回紹介したトレースを複数回に分けるやり方は、あくまで私Keigoの描き方にはなりますが、背景があってメインのモチーフがある程度複雑だったりする場合は、結構有効な手段かなと思います。

 

 

リアルパステル画の下書きは「トレース」が必須
「まとめ」

 

 

最近はyoutubeでリアルな絵を描くアーティストの作画風景を簡単に見ることができるようになりましたが、トレースで描き始めている人の動画をとてもよく見かけます。

 

 

下の2つの動画ですが、描き始めに見える鉛筆の線はおそらくトレースで描いたと思われます。なぜなら線の筆圧がトレース特有の一定の規則的な線だからです。私の経験からそのような予想が付きます。

 

 

 

これも完成度のアップと作業時間の短縮を考えてのことだろうと思います。

 

 

出展:https://casabrutus.com/design/64483

 

出展:https://renote.jp/articles/4351

 

またAIBOのデザインやエアロスミスのCDジャケットのイラストを描いた世界的にも有名なエアブラシのゴッドファーザーと呼ばれる空山 基氏も著書の中で、

 

「デッサン至上主義の人は写真をトレースすることをいやがるけれど、僕はあるものを使って何が悪いって思うほうなんだ。」

リキテックス大全

 

といった内容のことを語っています。

 

 

出展:リキテックス大全

 

出展:リキテックス大全

 

これも限られた時間で重厚な作品を作らなければならないというプロとしての自覚から生まれた考えなのでしょう。

 

 

また、当時通っていたイラストの専門学校の先生も、普段はリアルテイストのイラストを描いている現役のイラストレーターなのですが「普段のイラストの仕事で普通にトレースを利用して絵を描いている」と語っていました。

 

 

このように「トレース」は作業時間を短縮して作品の質を一つ上のステージに押し上げてくれる効果的な技法の一つと言うことができると思います。

 

 

ただ、画力が乏しいうちからトレースに頼り過ぎてしまうと間違った方向に進んでいってしまいますので、画力が備わり自分の描きたい絵の方向性が確立されたら、ここぞという場面でトレースを活用すると、必ずあなたにしか描けない独自の世界が描けるようになるはずです。

 

 

ここまでありがとうございました!!