こんにちは!!リアル系のパステル画を描いているKeigo Nと言います!!
今回は「パステル画に”ペン画”を取り入れたラフな雰囲気の絵」を描いていこうと思います!!
この作品ですね。
ペン画を取り入れること以外の大きなトピックスとしてはある程度リアル感を保ちつつ「しっかりとした建物を描く」ということになりますね。
いくらラフな雰囲気と言っても、建物のようなカチッとした対象を描く時には基本、定規を使ったりしてきれいな直線をキープしなければなりません。
この工程があってこそ作品全体を崩すことができて「ラフな雰囲気」というものが成立するわけですね。きっちりメリハリを付けることが大切です。
さあそれでは四の五の言わず描き方や必要な道具について解説していきます!!
この記事自体が1つの講座のような感じになっておりますので、是非何度も訪れて頂けると嬉しいです!!
目次
パステル画_ペンを活かしてラフな建物を描く
1.「準備する画材、紙、道具」
まず紙ですが、今回はパステル画の雰囲気を出しつつラフな感じに持っていきたかったので、表面がデコボコした「キャンソンボード」を使いました。
ボードタイプなので紙に厚みがあり、描いている最中も自由に紙をクルクル回せるという利点がありますね。厚みは1mm厚のものを購入しました。
裏面はグレーの色紙になっていますが、オモテ面はもちろん普通の白色ですね。こちらに描いていきます。
画材はパステル色鉛筆「ファーバーカステル ピットパステル60色」を使いました。今回はソフトパステルは一切使っていません。
今回ちょっとしたサブテーマとして「やや薄塗り気味にして紙の質感を出す」感じでいこうかなと考えていますので、濃度の高くないパステル色鉛筆のみで仕上げていきます。
今回肝になるペンですが、普通のサインペンで問題ありません。100円ぐらいので充分だと思います。またはゲルインクのボールペンでも面白い雰囲気が出せると思いますね。
1つ重要な点として、太さを0.7mmか0.8mmのものにするようにして下さい。上の画像を参考にしてもらいたいのですが、
1.0mmだとちょっとペンの主張が強くなりすぎますし、0.7mm以下だと逆に線の印象が弱くなってしまう可能性がありますので、やはり0.7mmか0.8mmぐらいが一番パステルとのバランスが保てますね。私は0.8mmにしました。
その他の道具としては細めのさっぴつと20cmぐらいの定規があればOKですね。定規は建物の直線を描く時に使います。
1つ面白い小道具として、上の画像のように厚みのある「イラストボード」の端をカットすると「即席の定規」を作ることもできます。
この即席の定規の良い所は軽いのでクルクル回しやすいという点ですね。今回の建物のような複雑な形をしたものを描く時にはまさに重宝します。軽いと本当に助かります笑
「今回のロッジを描いてみたい!!」という方の為に一応、カラーと白黒の資料を載せておきますのでご活用下さい。
パステル画_ペンを活かしてラフな建物を描く
2.「実際の描写」
トレース
それでは実際の描写に移っていきます。
まずは鉄筆でロッジと森林のトレースをしていきます。トレースの手順はこちらの記事を参考にして下さい。
ロッジは中々しんどいですが・・・なるべく定規を使って正確に線画をトレースしていきましょう。
横長の板1枚1枚もしっかり定規を使ってトレースしていきます。形がわからないところはもうだいたいの感じで良いと思います。
これぐらいの細かさでトレースができると後々ペン画が描きやすくなります。逆にバックの森林はザックリ目のトレースで大丈夫ですね。
ただ影で葉っぱが濃くなっている部分や、特徴的な形の葉っぱはしっかりトレースしておきましょう。後々それらがガイドになってくれますので。
ペン画
ここからはペン画に入っていきますが、始めにペン画の完成形をお見せしておきます。
これぐらいの感じで、ロッジはしっかり定規を使って直線を引けるとパッと見できれいな建物の雰囲気が出せます。
まずは屋根部分から描いていきますが、屋根瓦の複雑なラインも形をしっかり見極めて描いていきましょう。
特に屋根を含め、一番外側の輪郭線に関しては定規を使ってきれいな直線を引くよう心掛けて下さい。仕上がりに大きく影響してきますので。
さすがにこの辺の横長の板1枚1枚に関しては、トレース時に定規で真っすぐな線をひいているのでペンの段階ではフリーハンドで描いていって良いと思いますね。ただここもなるべくは真っすぐの線がひけるよう集中して描いてくことが大切です。
細かいですが頑張って描いていきましょう。ちなみに私はペン画だけで10時間ぐらいかかりました。数日間に分けてゆったり進めていった感じです。
ロッジが描けたらバックの森林を描いていきます。
森林に関してはトレースの線を頼りにオールフリーハンドでラフな感じで描いていって大丈夫です。改めて森林を描く時のポイントですが、
・影で濃くなった部分はしっかり描いておく
・枝や幹はしっかり目に描いておくと後々森林の雰囲気がUPする
・直線の表現と斜線のかすれた感じの表現をまぜると効果的
という感じになります。
広範囲に暗くなっているところは、ペンを寝かせてなるべく筆圧を弱めた感じのタッチで表現していきます。
下部の草原はチョンチョンという感じの短かめのタッチで表現していきます。
さあ最終的にこれぐらいの感じになれば色付けの時にもスムーズに進みますね。
赤く囲った最下部の濃い影についてですが、私も少し迷いましたが今回は後半でパステル色鉛筆の黒で描いていった方が自然になるかなと思ったので、今の段階では輪郭線だけの表現にしておきます。
また、先ほども言いましたが木の幹や枝は、位置や形をしっかり目に描いておきましょう。
色付け「空と森林」
ここから色付けにはいっていきますが、この記事もだいぶ縦長になってきましたので、やや省略しながら駆け足で進めていきます。
まずは塗っていく順序ですが、やはり一番後ろに位置している「空」から塗っていくのが無難かなと思いますね。次に森林、最後にロッジと進めるのが効率的です。
風景画においてはこの「塗る順序」というものがとても大切になってきます。そのことで絵の善し悪しが決まってしまうと言っても過言ではありません。その辺のお話は以下の記事で詳しく解説していますので、合わせて読んでみて下さい。
だいたい空に近いぐらいの水色をチョイスして空を塗っていきます。普通に塗っていくだけですね。なるべく芯先をとがらせておくと細部が塗りやすいです。少し塗ったら指やさっぴつで粉をなじませる進め方で良いと思います。
さあ次は森林を塗っていきます。
森林は数色が混ざり合って形成されているモチーフなので、とりあえずはベースとなる「平均的な緑」を決めて全体的に塗っていっちゃって大丈夫ですね。
このぐらいまで来ると、ペン画で濃く描いた影の部分がグッと活きてきて森林の雰囲気がUPしますね。
さあ、すいません・・ここから一気に進んでしまいますが、先程の平均的な緑を塗り終わったら、
少し濃い目の緑で影の部分をより強調したり、明るい部分に黄色を乗せていったり、さらにオレンジがかったところにはそのままオレンジを乗せて森林の深みを出していきました。
下部の草原は明るめの黄緑で一面を塗っていきました。
色付け「ロッジ」
ここからはメインのロッジの塗りに入っていきます。一番重要なところは「古びたロッジの木の質感」を色で表現していくところですね。茶色の中にも明るい部分や暗い部分や白味がかったところがありますのでその辺りを資料を見ながらしっかり描いていきます。
順序としては森林の時とほぼ同じで、まずは初めにベースとなる「平均的な赤茶色」を全体的に乗せていくという流れで良いと思います。その後に細部を詰めていきます。
狭い箇所はさっぴつで粉をなじませていくと効果的です。
全体が赤茶色で塗れたら、資料を見ながらオレンジがかったところにオレンジをいれていったり、濃い部分にはこげ茶色を乗せていったり、白味がかったところにはクリーム色や白を乗せていき、木の質感をどんどん高めていきましょう。
オレンジはわりとだいたんに使っちゃって大丈夫ですね。その方が古びたロッジの雰囲気を表現できます。
パステル画_ペンを活かしてラフな建物を描く
完成とまとめ
さあ後半はだいぶ駆け足になってしまい申し訳なかったのですが・・基本的な制作の流れや重要ポイントについてはしっかりお伝え出来たかなと思っています。
冒頭の方でも述べたように、今回は「紙の質感を活かしたパステル画」というのがテーマだったので、リアル度合いで言えば半リアルぐらいの着地にはなりましたが、個人的には狙い通りの良い作品を描けたかなと自負しております。
普段、厚塗りのパステル画をメインで描いているという人は、たまには趣向を変えて今回のようにあえて紙の質感を活かした薄塗りのパステル画に挑戦してみるのも面白いと思います。
普段にないことをやると一気に画力がUPしたり、想像がふくらむことが多々ありますね。
最後までお付き合い頂きありがとうございました!!