
最近は絵、イラストのメイキング動画を簡単に見れる時代になりました。
絵描き初心者、中級者あたりの人で、参考の為にプロのメイキング動画をよく見ているという人も多いのではないでしょうか。
しかし、そこには「隠れた弊害」も存在すると私は考えています。
「たまに」メイキング動画を見て刺激にするぐらいなら何の問題もないと思いますが、
「見過ぎ」てしまうとメンタル的な2つの弊害が発生してしまう可能性があります。
まさに私はその2つの弊害に苦しめられた絵描きの一人です。
その「2つの弊害」について、主に絵の初心者の人に向けて解説していきます。
サクッと3分ほどで読めるかと思います。
メイキング動画の弊害1 「自分の非力さを痛感させられるだけ」
昔はこのメイキング動画をしょっちゅう見ていました。デジタルのメイキング動画です。
現在私は主に「夢に出てきた人物」を鉛筆で描いているガチガチのアナログ派なのですが、当時はデジタル画も描いていました。
このアーティストの他にも、デジタル、アナログ問わず色々なアーティストのメイキング動画を毎日20~30本ペースで見ていました。
その結果、生じた心の変化は、
「見る度に自分の非力さ痛感させられる」
というものでした。
メイキング動画を見ては、「凄いなあ」という気持ちと1セットで、
「自分には何が足りないのだろう、自分がこのレベルに到達するのにあと何年かかるのだろう、どれだけの労力が必要なのだろう」という
無駄に「マイナス思考」を抱くことが習慣化させられてしまったのです。
かなりのモチベーション低下につながったことは事実です。
おそらく本気で絵描きを目指している人こそ、このような負の感情に移行する傾向が強いのではないかと思います。
絵に真剣なだけに他者と自分をすぐ比較してしまうのです。
逆に「この人みたいに上手くなってやる!」と毎回「正の感情」に持っていける人なら、それはそれでいいのかもしれませんが、
どちらにせよ「見過ぎる」というのは、長い目で見て非常に危険をはらんでいるものだと思うのです。
メイキング動画の弊害2 「早回しなので描き方の疑問だけがつのっていく」
7,8年前の自分はこの「疑問」で頭がいっぱいでした。
冒頭の動画もそうですが、絵のスタートからゴールまでの一連の流れを見せる「メイキング動画」というものは基本、早回しです。
当然と言えば当然です。あくまで「メイキング動画」なので、宣伝目的の為のコンテンツの一つなわけです。
アーティスト側からすれば、早回しでも何でもスタートからゴールまでの工程をとりあえず見せれば良いわけなので。
となると当然、描き方の解説も無ければ、細かい道具の説明などもないわけです。
ただ最近はそれなりに説明してくれているアーティストも増えたことは増えましたが、
それでも、本質的にアーティストというものは「肝心なところ」まではオープンにはしないものです。
当然、まねされたくないからです。
従って、早回しの動画を何度見たところで、大幅な技術の向上や何かの成果につながるということはほぼ考えられないでしょう。
それどころか「疑問」だけがただひたすらに積み重なってしまい、
モチベーション低下や最悪、「挫折」という事態にまで発展してしまう可能性があるわけです。
実際私がそうでした。
結局私は地道に泥臭くデジタル画の技術を学び何とか復活はできましたが。
その時の話は下の記事でお話しています。
まとめ
もちろんメイキング動画が何の役にも立たないとまでは言いませんが、
「画力を習得する」という側面で考えた場合は、大した成果は得られないだろうと推測されます。むしろ見過ぎるとマイナス要素すら生みかねません。
それならばちゃんとした「チュートリアル動画」を見ることをお勧めします。
チュートリアル動画とは「絵の描き方」を順を追ってしっかり説明してくれている動画のことです。
ただこのチュートリアル動画に関しても、日本語でしっかり解説された動画となると、まだまだ本数が少ないような気がしますが。
冒頭でも触れましたが、あくまで「絵描き」にとってのメイキング動画は、
たまに見て、都合よくモチベーションを上げる為の「材料」ぐらいの位置づけが一番理想的なのではないかと考えます。