
絵の描き始めの段階で、
「モチベーションが上がらない・・・」
「手が進まない・・・」
「何を描いたらいいのかわからない・・・」
といったスランプに陥ることが時としてあると思います。
こういった一時的停滞は経験の積み重ねでもなかなか払拭できるところではありません。
私も過去に何度も苦しみました。絵描きにとってこれほどの精神的苦痛は他にないと思います。
ではそもそもなぜ描き始めでスランプに陥ってしまうのか?
それはスムーズに「作業興奮」へと移行できていないからということが言えると思います。
「作業興奮」へ導く為に
人間の心のメカニズムの一つに「作業興奮」というものがあります。
fa-check作業興奮とは、何らかの作業をする時に最初の入り口さえうまくくぐりぬけてしまえば、その後はリズムに乗りながら集中して作業を行うことができるようになるという一種の心理現象のことです。
掃除のやり始めが面倒でも、徐々にはかどってくるというのがその良い例です。
絵に置き換えてみても、一旦リズムに乗ることさえできればその後はペンがスラスラ動き効率よく絵を描き進めることができたというような経験が何度もあると思います。
しかもそういった時にこそ脳内アドレナリンが分泌され集中できることで良い絵が生まれるのだと思うのです。
それ故に一番大切なことは、「いかにスムーズに作業興奮へと移行させることができるか」ということにかかってくると思います。
この工程がズルズルいってしまうと更なるスランプを引き起こす原因にもなり兼ねません。
そこで、その入り口を出来る限りスムーズに突破する為に私が過去に実践して効果的だと感じられた4つのコツをお伝えしたいと思います。
目次
1つ目のコツ 「優れたアーティストの作画工程の動画を見る」
私はよくこのアーティストの動画を見て気分を高めています。
1つ目のコツが優れたアーティストの作画工程の動画を見るということですが、「何だ、その程度のことか」と思われるかもしれませんが、いざ実践してみるとかなりの効果に繋がります。
まず視覚からの伝達というのは直接脳に響きます。人の助言や精神論等と違ってやる気を駆り立てる即効性と爆発力があります。
さらに絵の実力を向上させたいと願う人なら、そのアーティストと同じ高みへ登っていきたいと強く感じるはずですし、必ず負の感情がやる気に変換されるはずです。
自分が目指す絵のスタイルに近いアーティストの動画を探すと、より高い効果が得られると思います。
2つ目のコツ 「トレースをする」
とりあえず初めのとっかかりだけ写真のコピーをトレースして描いてみることをお勧めします。
雑誌の切り抜きやスマホで撮影した画像等、ある程度希望の被写体が写っている写真をプリントアウトし、それをトレースします。
トレースのやり方はこちらの記事でまとめています。
トレースなので描くべきものは一時的には決まっています。
とりあえず一旦作業興奮を促す意味でもトレースをしてみて、そしてある程度形になってきたら、そこから新たなアイデアを組み込んでいき、それぞれの画風に落とし込んでいくといった流れも時には効果的だと思います。
多少の強引さもありますが、ペンを動かすことでしか絵は始まらないので、そういった意味では根本的な前進には繋がります。
3つ目のコツ 「過去作品を見返す」
私もよくやる方法です。
過去の自分の作品で気に入っている作品を引っ張りだしてきて下さい。
そしてそれらの作品を眺めながら、なぜそれらの絵を自分が気に入っているのかを改めて考えてみて下さい。
そうすると、
fa-checkそもそもあなたはどういう絵が好きか
fa-checkどんな表現が好きか
fa-checkどんな描き出しをするとテンションが上がるか
ということを思い出せるようになってきます。すぐに思い出せなくてもじっくり細部まで過去作品を見返してみて下さい。
自然と本来の混じりっけのない「描きたい絵の方向性」というのがじんわり頭の中にでてくるようになります。そのイメージをしっかりつかむことができれば、絵の停滞を打開する大きなヒントになってくれるはずです。
「絵の描き始めでモチベーションが上がらない・・・」という時は本来の自分の絵のスタイルを見失っている時が多いです。
そういった意味でも過去作品を眺め、改めて「理想の絵」というものの道筋をさだめてやると、スムーズに手が動くきっかけになるはずです。
4つ目のコツ 「絶対良い絵を描くという気持ちを一旦捨てる」
このコツはある意味「番外編」です。精神論になります。
私の周りにいる絵描き友達の話を聞いていても思うのですが、絵描きは完璧主義者が非常に多いです。自分に厳しい傾向にあります。
それ故に絶対前作を超えた絵を描かなければならないと意気込んで作品毎に高いハードルを自らにかしてしまい、うまく描こう、うまく描こうとという気持ちが強くなり、肩に力が入り自分で自分の世界を狭めてしてしまっている人が非常に多いのではないかと思います。
そして視野が狭くなればなるほどアイデアが出ず気持ちばかりが焦ってしまい、やがてはスランプに陥ってしまうという結果になってしまいます。
そうなるぐらいなら初めから「今回は箸休め的な作品でいいや、次回に納得のいく絵を描けば良いのだ」と割り切ってしまえばペンを持つ手も少し気楽に動かせるようになるはずです。
出展:https://gqjapan.jp/culture/column/20171124/mark-zuckerberg-facebook-last-believer
FaceBook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏の言葉で、
完璧を目指すよりも、まずは終わらせろ
という名言があります。
時に絵にも共通して言えることではないでしょうか。
完璧を求めすぎて考えて考えてスランプに陥ってしまうぐらいならまずは、「7割の作品を描こう」と一旦割り切って現状を受け入れてしまいましょう。
そして、受け入れたことにより次の10割の快進作を生み出せるようになるはずです。
絵を長く描き続ける為には努力ばかりではなく時には柔軟性も必要になります。
むしろ柔軟性を制した者が長く絵を描き続けられるのだと個人的には思います。
それに肩に力を入れて描いた絵よりも、気楽に描いた絵の方が周りの評価が明らかに高かった・・・なんてこともよくあることです。