絵の公募展に入選、入賞して名を挙げたいと考えている人は大勢いると思います。

 

ただ公募展と言えば大抵、大きい絵でなければ入選、入賞できないという風潮があることは数回でも公募展に出品したことがある人ならわかっていることだと思います。

 

そこで、小さい絵をメインに描いてきたという人の為に、私が過去に3回出品して2回入選した「小さい絵で入選できる公募展」を紹介したいと思います。

 

「小さい絵」で入選できる公募展

それは「tagboat award」というアート全般の公募展です。それなりにご存じの方もいると思いますが、2023年現在で18回の開催実績がある公募展です。

 

この公募展は年1回、最近は1月か2月ぐらいに開催されています。平面作品だけではなく立体作品も応募可能で、上位入賞者6名は台湾での展覧会に出展する権利が与えられますので海外進出の可能性も広がります。

 

出展料は7560円で、賞金がグランプリは1名選出で賞金10万円、準グランプリも1名選出で賞金3万円、審査員特別賞が数名選出で賞金1万円となっています。参加資格は不問なので基本誰でも応募可能です。

※参考までに第14回応募要項はこちら (応募はすでに終了しています。)

 

作品サイズについて

 

本題の作品サイズについてですが、小さい作品でも十分入選の可能性があります。私の2回の入選時の作品サイズはA3とB3でした。別の入選者の作品でA4程の作品も見たぐらいです。

 

冒頭でも述べた通り、規模の大きな公募展になると必ずと言っていいほど小さいサイズの作品は選外となります。

 

その理由は、作品を見る審査員に与える印象として、単純に大きい絵の方がインパクトを与えられるからです。

 

大きい絵の方が作家からの作品の意図もより伝わりますし、そうなると自然と大きい絵の方が審査の対象として残りやすいという流れになるのでしょう。

あと単純に世間体という意味で入賞者展の見栄えが良くなると言ったところもあるのだと思います。

 

倍率について

まず総応募点数に対して何点が入選するのかという倍率についてですが、

 

私が入選した11回目のawardの応募者数は約200人程(1人1点)で第一審査通過者(入選)が27名でしたので倍率は約7.4倍、次に入選した第13回目は応募者数が約200人程(1人1点)で第一審査通過者(入選)が28名でしたので倍率は約7.1倍でした。

 

今年2019年度、14回目の応募者数は270人でそのうち入選が30名なので倍率は9倍となっていて、過去数年を見ても大体8倍ぐらいで推移しているようなので、他の大きな公募展と比べればそこまで高くない倍率ということが言えると思います。

 

例えばシェル美術賞はここ5、6年で800点ほどの応募点数に対し入賞を含めた入選が53、4点なので15倍前後の倍率となっています。

参考サイト:シェル美術賞の応募実績

 

確かに公募展によってはある年だけ極端に応募者数が減り倍率が一気に下がったということもあるようですが、そんな未知数を狙うよりも毎年安定して高くない倍率という方が作家側からしてもモチベーションが保てると思います。

 

補足

老舗イラスト公募展の玄光社イラストレーション「チョイス」の第201回目の公募展の応募総数が1500点に対し、入選、準入選含め16点選出となっており、倍率は約93倍となっています。

 

審査について

まず一次審査はデジタルデータでの審査になります。Webからのデジタル入稿になりますので、わざわざ一次審査で作品を搬送しなくて済みます。これは作家からすると単純に手間が省けてありがたいです。

 

審査自体ですが様々なジャンルの作品を評価してくれます。

 

有名な公募展になればなるほど、毎年上位入賞する絵は大体作風が似たりよったりになってきますが、tagboat awardに関しては毎年入選者全員の作品を見ていますが作風が非常に多種多様で面白いです。

 

ミクストメディアがあったり、シンプルな鉛筆画があったり、スーツを着た土下座をするサラリーマンのアクリル画があったり、

 

毛糸や布で作られた立体作品があったり、AIを取り入れた作品があったりと

 

様々なジャンルに富んだ作品が選出されていて、過去2回訪問した入選展でも本当に他作家から得るものが多く、単純に見ていて面白いと思える展覧会でした。

 

時間があればホームページで過去の入選作作品を見てもらえればと思います。

 

ちなみに審査員の中には日本アート会でも著名な小山登美夫ギャラリーの小山登美夫氏もいます。

 

最後に「公募展の意義」について

 

今回紹介したtagboat awardの他にも小さいサイズの絵でも正当に評価してくれる公募展は探せばいくつか見つかると思います。

 

今回は私の体験談としてたまたま運よく入選させて頂いたので、その公募展を紹介をさせてもらいました。

 

「小さい絵」で入選できる公募展について話をしてきましたが、私も数年前までは、

 

「入選、入賞して今後の活動の足掛かりにするぞ」と思いなるべく倍率の低い公募展を探し出品を重ねていた時期がありました。

 

しかし、時が経つに連れ色々な人達から知識と情報を得た今、

 

公募展の入選、入賞が画家を目指すことにおいてどれほどの意味をなすのだろう・・・と思うようになりました。

 

本記事の主張と矛盾してしまうようで申し訳ないですが・・・。

 

 

確かにグランプリや大賞を受賞することで極少数チャンスをつかむ人もいるとは思います。

 

しかしその後も自分で行動し、自分でチャンスを広げられる人間でないとまた結局は振り出しに戻ってしまう、と数人の成功している画家から聞いています。私もそうなのだと思います。

 

「依頼を待つ」という受け身ではなく、「仕事は自分で取りに行くという能動的な考え方」が必須になってくるのだと思います。

 

また大きい公募展には闇もあります。入選、入賞の為に裏で審査員に多額の金を払う風習があると聞きます。もう結構有名な話ですが。

 

となると、躍起になって公募展に5年も10年も時間をかけて力を注ぎ込むよりも、

 

初めから「個人メディア」を利用して絵を売る仕組みを自ら作っていくということに注力した方が、今の時代の画家活動にはより適しているのではないかと思ってしまいます。

 

私も今はまだ模索中なのでこの話はまたいつかということになってしまいますが・・・。

 

・・・。

 

とは言え入選、入賞すれば誰しも嬉しいに決まっていますので、画家としてのモチベーション維持の為というぐらいに考えられれば一番良いのだと個人的には思います。