私は29歳から本格的に絵の道に進み始めました。33、34歳の時、そろそろ絵を仕事にしなければならないと焦り初めました。

絵で収入を得る為の一番の身近な方法はやはり「イラストレーター」になることだと考えました。イラストレーターとは資格などは特に必要なく、営業活動を頑張れば十分に可能性はある。勿論、ある程度の画力は必要ですが、可能性という意味では駆け出しの者にもチャンスはあります。

 

イラストというと確かに単価は安いものの、受注の数が多ければそれなりの収入になります。それにある程度の期間、しっかり仕事をこなしクライアントからの信頼を得られれば、金額の交渉もできるようになります。

 

それにもし、「画家」という道を進んだとしたらいつ収入につながらかわからないし、一生食えずに死んでいく画家志望の人もいるぐらいです。

さらに一つ絵が売れても、次がいつ売れるのか分からない。これでは人生設計が立てられない。

 

そう考えた私は、あくまで「収入の可能性」を優先させイラストレーターの道を選びました。イラストレータとは基本、「クライアントの要望に合わせてイラストを描く」というのが一般的なスタイルになります。

 

私は、本当は毒々しい人が忌み嫌う画風が好きなのですが、それでは仕事に結びつけるのが難しいし、なによりイラストではなくなってしまう。

 

従って、描きたい画風を押し殺し、無理やりかわいい女の子のキャラクター調のイラストを描くことに決めました。

こんな感じのイラストです。

 

今までのグロテスクなマインドから一気に切り替え、温かみのある可愛いイラストを描きまくりました。始めは正直、今までにない画風を描くことに多少の新鮮味も感じられ、楽しさもありました。今まで使ってこなかった色鉛筆という画材も新鮮でした。

 

しかし、時が経つにつれ「やはりこんな絵を描きたいのではない・・・」という重い気持ちが押し寄せてるようになりました。描いていて単純に楽しくなかったのです。

 

ただ、ある程度この自分自身の気持ちの変化については予想をしていました。

が、一番予想外だったのが、周囲の反応でした。

家族や友人、専門学校時代の講師は「前の絵の方が良かった」「今の絵はわざとらしい感じがする」「収入を意識した絵になった」という感想を持ったようです。そして持ち込みに行った出版社にも「ちょっと狙っている感じがするんだよね~」と言われたのです。

 

このような周囲からの良くない反応をもらってしまった根本的な原因は、まさに私の「金を得たい」という欲がもろに透けて見えてしまったことにあります。

 

絵を介して欲が相手に伝わってしまったのです。この時は本当に自分の情けなさを痛感しました。

たしかに収入を得ることは大切なことですが、無理やり画風を変更してまで金を稼いでも、いずれ必ずジレンマを感じ潰れる時がくるというのをわかっていなかったのです。

 

これ以降、本来の画風に戻り「画家」を目指すことを決めました。私を画家へと導いてくれる人にも出会えました。

 

これからは存分に描きたい絵を描いていきます。

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