
人生の「分岐点」を肌で感じることは、今後の生き方を左右します。
私の短い絵描き人生12年でも様々な分岐点が存在しました。
まずスタートは29歳の頃、仕事で地獄を見た時、「こんなのは人生ではない」
と肌で感じることができたので、スパッとその仕事から足を洗い、絵の道に進むことにしました。
この「分岐点」を見極められたことは私にとって「生き方」を定められたことと同等の価値があります。
やはりのほほんと生きていると分岐点を肌で感じることは難しいです。
私はその後、すぐに夜間の絵の専門学校に通い始めました。自分は画業に就くべきだと感じたので、
独学で絵を学ぶよりも絵の熟練者に教えてもらう方が何より効率的だと考えました。
この決断もある意味分岐点です。独学でズルズルやるよりもメリハリが効きます。
そしてひたすら画力を磨き続けました。画力を磨く中でも色々な分岐点がありました。
私はこの過程での分岐点に気付くのは・・・少し鈍かったなと感じます。いや物凄く鈍かったです。
まず、色々な画材に手を出し過ぎてしまったことです。初めの頃は勿論色々な画材を経験すべきだとは思いますが、
ある程度年月が経ったならば、もう自分の絵描きとしての方向性を見極め、1つの画材に絞ってやっていくべきだったと
感じるのです。色々な画材に手を出してしまっては、毎回の画材で素人が描くようなものなので、それは画力も上がりませんし、
何より画風が定まりません。この頃は非常に苦労しました。
しかも、画風が定まらない中、一丁前に収入を得たいという気持ちだけは大きくなっていったのです。
そして、自分にとって最悪の分岐点だったのは収入の為に「描きたくもない絵」を描き始めたことです。
本来はリアルな人物画が好きだったのですが、「可愛い女の子のイラスト」を描き始めたのです。
もともと画風が定まらないながらも、何となくは「好みの絵」というものは自分の中であったのですが、
明らかに自分の方向性とは逆の方向に画風を変更してしまったのです。
本当に愚かでした。その結果どうなったか・・・、結局何の収入にも結び付かなかったのです。
イラストの持ち込み営業に行った出版社の人には「わざとらしい気がする」と言われてしまう始末でした。
結局、分岐点を見定められなかったこの時期は、2年程迷走したのではないでしょうか。今考えれば、
まあ、この期間も自分にとっては必要な期間だったのかなあとも感じますが、しっかり自分の中で軸を持っていたら・・・
と感じる気持ちの方が大きいです。今後もしあなたが何かの分岐点で迷ったら単純に「楽しい」と
思える方を選択するようにして下さい。